再び二人の若者のトレーニングの話に戻る。
プロコースの最初のレベルアシスタントインストラクターのトレーニングは佳境を迎え、さらに困難なものへと進んでいく(NAUI)
数あるダイビング団体の中でもNAUIは特にトレーニングが群を抜いて厳しいとされ
それを受け継いできたので、いくら18歳や26歳の若者とはいえなかなかできるものではない。
根性、体力、忍耐力、柔軟性、精神力、人間性、問題解決能力などが特に特別なスキルやレスキューのトレーニングでは必要で今回は主にここを特化して教えた。
身体を使うものはフィリピン人はわりと得意で自分達もわかっているので果敢に挑戦しようとするがそんな簡単にできるものではない、何故なら人の限界をある程度越え
どちらかというと精神力が試されるものだからだ、精神力や忍耐力の分野になると
フィリピン人は一気にできなくなってくる。
人の命が関わってくるのでどうしても真剣に熱くやらざるを得なくなってくる
ただ前回も触れたがフィリピン人にとって何よりも嫌うのが自分のプライドを傷つけられること、自分が否定された、ミスを犯したと少しでも感じると全力で言い訳をしてくる。…
「でも、しかし、、、」が多くなり、言葉を遮ってまで全力で自分を守ろうとする。
しかし、大自然の中では、でももへったくれもない
自分を守ることも大切だが、お客さんを守らないと
時にその人の今の能力以上のことをやらせてみて自分の足りなさを自分で気づかせ、どうしたらそれができるようになるか自分で発表させる。
そして何でこういうことをしているかの理由をしっかりと相手に説明し納得させる。
そして、失敗したことに対しても
「これはあなたを否定したくて言っているわけではない、そして
もう過ぎてしまったことでもあるからもう取り返すことはできない。
ただ、このミスをこれから二度と犯さないことはこれからできる、そして
未来は作っていける、そのための話を今している。よりよく向上していくために」
しっかりと相手にわかるように、フィリピン流のたとえをもって熱くわかりやすく説明すればきっと伝わる。
ついつい熱くなりすぎてしまったかなと感じる場面もあったが、意外と
熱さも含めて伝わっているもので、どんなことにも真摯な情熱を持って接していればおのずと相手もわかってくれるものだと実感した。
ただここが日本との大きな違いで
フィリピンではどんな時でも(仕事でも)笑いとユーモアと楽しさがないと飽きられてしまうし、のってこない。(かなり重要)
しかしそれがあってピタッとはまると活性化されてちゃんとついてきてくれる、真剣に真面目にやり過ぎてもダメなのでバランスが大切
今回はレスキューの訓練も、スキンダイビング(素潜り)の訓練も
ガイドも、アシスタントをすることもすべて手取り足取り
なかなかやりきった感があり、若者二人ですら相当の疲労感でクタクタになっていた。
二人の変化も大きく満足度も大きかったようなので、自分が今までやってきたことに自信を持てるようになった。
ドゥマゲッティーに帰って来ると、18歳のマークからフェイスブックにメッセージが入っていた。
「ありがとうございました。僕は僕のすべてを使ってあなたのビジネスがうまくいくように手助けします、礼儀作法(マナー)や言葉がもっと上達するように頑張ります。 あなたは良き、優しき先生であり、ボスです。
これからも教えてください。こういうことができて僕はとても幸せです。」
僕の予想としては、マークは今まで仕事の経験はいろいろあり、いろいろな場所で
いろいろなボスの下で働いていたが、誰もが彼を真剣に教えようとはしなかったのだと思う。 ただの若い労働者として捨て駒として扱われたのだ
今のマークは厳しいトレーニングではあるが水を得た魚のように吸収していく
そして、人からいろいろと教わることを心から楽しんでいるようだ。
少年にはこういう時がやはり必要なのだ