アドバンス講習の中で一番厄介で難易度が高いのがナビゲーションだと僕は思うのだが、最近の若者達にはそうでもないようだ。
僕が16歳の時にアドバンスを取得した時はナビゲーションが一番苦手でこんなメンドクサク、難解なのは二度とやりたくないとまで思ったが、今回講習を受けた15歳の少年はナビゲーションが一番楽しかったと言っている。
最近アドバンス講習を受ける特に若者がみんなそう言う
何故だ???
何か難しいことに挑戦しそれを乗り越えた時に人間は達成感を感じ、自分が成長したと思え高揚感も出る
その心理を巧みに使い達成感を味あわせてあげればそれは結果的に良かったこと、楽しかったことに変わる。
僕が所属するインストラクター団体NAUIには昔から「生徒ができない、わからないのはインストラクターが教えていないからだ」という言葉がある。
しっかり教えてあげれば厄介なものも、難解なものも楽しく達成感あるものにできる。
まだまだ教えるということの可能性を信じたい。
アドバンスのナビゲーションは様々なことを同時にかつ正確に行わなければいけないから難易度ががわりと高い。
しかもそれを水中で行わなければいけないので陸上の3倍以上は難しくなり、まずは陸上でそれをしっかりと理解して行える必要がある。
こちらから、上から教えてばかりいても身につかないので、自らやらせ考えさせる、自分自身に下していかないと意味がない。
「あ、そういうことなんだ、じゃあこうした方がもう少し楽になるかな」とか自ら考えさせ納得させ、さらに工夫させればなお良い
そしてそれを水中ではどうするのか想像させシュミレーションさせる。
もちろんその前に水中での動き方や感覚の違い、透明度、流れなどを考慮に入れさせある程度できる、わかるようにさせておかなくてはいけない。
①コンパスに集中しがちになり周りが見えなくなる
②脳を使うから残圧の減りが早くなる
③浮力調整に神経が回らなくなり中性浮力が取れなくなり、浮きやすい、沈みやすくなる
④コンパスを見ること、方向や距離の把握、スタートラインを覚えておく記憶力、角度の計算など様々な要素を同時に把握しながら動かないといけないので呼吸も浅くなりがちだし、混乱やパニックに陥りやすくなる。
⑤泳ぎ方、浮力などが安定していないと距離感が安定しなくどんどん方向や方角がずれていく
などなどざっと考えただけでもいろいろなことを考慮に入れないといけない。
これを達成感を持たせて楽しくさせるには自ら考え行ったことにより自分自身が成長したと感じさせることが大切だ。
ダイビングで行うことにはすべて意味があり理由がある。
ましてや下手したら命にも関わってくることなのでダイビングを行う限り15歳であろうが何歳であろうがそれをしっかり理解させ行ってもらわないといけない
生徒がどういう人であれその人のことを本気で思えば必死に理解させその人が困らないように教える必要が僕らインストラクターにはある
それと同時にダイビングはしょせんレジャーなので楽しみに来ているので楽しさや面白さも提供しないといけない、必死さと楽しさが同居する、なかなか大変だがやりがいがある。
15歳の少年はアドバンス講習でナビゲーションが一番楽しかったようだ
何故か理由を聞くと「自分が思っていた以上にできた、少しは自分で成長できたかなと思えたので」と言っていた。
彼は確かに成長し、達成感を感じた。僕も少なからず達成感を感じさせていただいた。
講習を受けに来ている人は少なからず教えて欲しい、もっと成長したいと思っていると思うので
その思いに必死に応える、自分が持っている経験のすべてを注ぐ
しかし所詮1インストラクターのできることには限りがあるのであくまでもお手伝いをさせていただく。
あくまでもお手伝いであり、自ら考え行うのは自分自身で成長するのは自分だ
絶妙なお手伝いと楽しさと必死さと達成感の狭間で